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症例紹介

アメリカ心臓病協会(AHA)の「心血管系疾患と歯周病とは無関係」との公式見解発表を考える。


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  4月18日、アメリカ心臓病協会(AHA)が「歯周病と動脈硬化性疾患とは関係がない」という異例の公式見解を発表し、それに対して、アメリカ歯周病学会は「そんなわけはない、両者は関係があるはずだ」と猛反発していると、米国のマスコミはセンセーショナルに報じた。
 
  歯周病が全身疾患と関連があることが指摘され始め、全身健康の保持増進の観点から歯科医学の価値が関心を持たれてきている時だけに、いささかショッキングな話題だ。そこで、この件について少し調べてみた。 

 

 

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  その結果、上記の報道内容はいささか事実と異なっており、それはマスコミが両学会の見解を正確に理解し、真意を伝えきれていないことに起因するようだ。
 
  先ず、アメリカ心臓病協会(AHA)が発表したサイエンティフィックステートメントをよく読むと、AHAは動脈硬化性疾患と歯周病との関連性を認めており、完全否定していない。正確に言うと、“短期的に見れば歯周治療の介入が動脈の血管内皮の炎症を減少させることは認めるが、長期的にみると歯周治療の介入が動脈硬化性疾患の発症頻度を減少させてはいない。しかしながら、両者はいくつもの複数のリスクファクターを共有していることから、関連性は否定できないので、今後注意深いリサーチの継続が必要である”と述べている。
 
  そして、これに対するアメリカ歯周病学会の公式声明も、決してアメリカ心臓病協会の見解を否定しておらず、逆に支持しているのである。確かに、歯周治療の介入による心疾患の発症頻度の減少は報告されておらず、現段階で集積されたリポートを科学的な態度で評価するなら、両者は、背景にあるその他のファクターの存在(両者の背景には肥満や脂質代謝異常、糖尿病、喫煙、など多くの関連する因子が存在している)に関係なく、両者が直接的に関連性があるとは断定できない、と極めて科学的で、冷静な態度をとっているのである(もし、両者間に直接的関連性があるのならば、歯周治療を行うことによって心疾患が予防出来たり、心疾患が改善するといった事実が確認されなければならない)。
 
  結局のところ、アメリカ心臓病協会はあくまでも科学的態度を堅持しており、一方のアメリカ歯周病学会もやはり科学的な態度をとっているのであり、両者ともアカデミアとしての見識は健全であると言える。どうやら今回のアメリカ心臓病協会の声明は、アメリカ社会の歯周病治療関連業界(口腔ケアグッズやレーザー等の歯周病関連器材の販売会社)の「フロスか、死か」(口腔ケアをしないと死ぬぞ、の意)という極端なコマーシャルベースのキャンペーンを牽制し、アメリカ国民を本来の心疾患の危険因子(高血圧や高脂肪食、運動不足、喫煙、等)から目をそらさないように仕向ける意図があったらしい。  
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   そして、日本国民の皆さん、歯周病は心疾患とは無関係と早合点しないでください。

両者は、アカデミズムのレベルでは極めて密接な関連性が推測されており、依然として口腔ケアの重要性は否定されることはないのです。 

 

 

中山 康弘 院長

■この記事の監修者

中山 康弘 院長

略歴・資格
  • 1974年 香川県立高松高等学校卒業
  • 1981年 福岡県立九州歯科大学卒業
  • 1981年 岡山大学歯学部口腔外科学講座入局
  • 1990年 岡山大学大学院歯学研究科歯学専攻修了 - 歯学博士(岡山大学)
  • 1991年 香川医科大学医学部非常勤講師
  • 1992年 岡山大学歯学部非常勤講師
  • 1992年 岡山赤十字病院歯科口腔外科副部長
  • 1996年 高松赤十字病院歯科口腔外科部長 - 日本口腔外科学会指導医
  • 2004年 高松市にて中山歯科クリニック開業
  • 2007年 日本臨床歯周病学会認定医
  • 2011年 日本歯周病学会歯周病専門医
  • 2016年 日本臨床歯周病学会歯周インプラント認定医
  • 2022年 加圧サイクル・インストラクター資格
修了研修・学会等
  • 日本口腔外科学会
  • 日本口腔科学会
  • 日本歯周病学会
  • 日本臨床歯周病学会
  • 日本口腔インプラント学会
  • AAP(American Academy of Periodontology)アメリカ歯周病学会
  • 日本加圧トレーニング学会
  • 日本抗加齢医学会

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